web『歩行』断章

『歩行』というのは、自分が学生時代につくった同人誌です。歩くことが好きだからという単純な理由もありましたが、どこまで歩けるか、自分で見てみたいという思いがありました。この頁は、そのウェブ版です。

 歩くという平凡なことの非凡さを、フランツ・カフカは、

 

「もしお前が平地を歩いていて、歩こうという十分な意欲をもちながらそれでも引き返すとしたら、それは絶望的な事態だろう。しかしお前は険しい急斜面を、いわば下からでもそれとわかるほど険しいところをよじ登っているのだから(中略)お前は絶望するには及ばない」(『夢・アフォリズム・詩』平凡社ライブラリー)

 

と書いていて、わが意を得たりと思いました。
書くことと歩くこと、読むことと歩くことの精神のありようは、自分にとってはよく似ています。

つまり、続いていくことが、です。

自分はよく不注意から交通事故にあうので、この試みがどこまで続くのか、それはまた別の話ですが。

                                           編集兼発行 千三屋  2009/06/21

webhokou@gmail.com

 

 

巻頭言libraly

 

○読書嫌いの貴方に

「健康な人は本を読まない」……山本夏彦

 

○大食漢の道

「食の細い人間はただ息をしているだけだ」……山田風太郎

 

○広く浅くがモットーよ

「もっとも深いものは表皮である」……ヴァレリー

 

○男が女にどうあがいても勝てない理由

「男は現象だが、女は実体だ」……多田富雄

 

○弔詞。11.15 M.S. 

「人間は、憎悪し拒絶するものの為には苦しまない。本当の苦しみは愛するものからやって来る。」……小林秀雄

 

○で?

「女は若さとひきかえに酒をおぼえいく」……女優・富士真奈美

 

○むかついた時こそ

「ほんとの敵に復讐するなら、敵に似ないことですよ」……島田雅彦 

 

○バグダット・カフェってか

「感動には適度の湿気が必要なものらしい」……サン=テグジュペリ

 

○”仏法王法滅尽”時代の純文学宣言

「紅旗征戎吾ガ事ニ非ズ(戦争なんか俺の知ったことか)」……藤原定家

 

○結婚おめでとうってか

「恋は人を盲目にするが、結婚は視力を戻してくれる」……リヒテンブルク

 

○やっぱ背水の陣っすか

「糞切りなんかつきやしない」……伊藤比呂美

 

○言い訳なんか糞くらえ

「カーテンの後ろに何も見るべきものはない」……ジル・ドゥルーズ

 

○死ぬまで読んだらあ!

「私の著作をすべて理解しようと思うなら、私の没年まで生きて読みつづけてほしい」……渡辺一夫

 

○いざ、ブックオフ! 師走大掃除血煙巻 

「本は市塵に返せ」……石川淳

 

○解るって何? 

「解るということはそれによって自分が変わるということでしょう」……上原専禄

 

○削って削って、また書き直し

「およそ天下に五枚で書けないことはない」……山本夏彦

 

○Rewrites

「劇作家は脚本家にくらべてひとつ有利な点がある。観客がどこがわるいかをすぐに教えてくれるから、劇作家は家へ帰って書き直せるのである。脚本家はひとたび撮影してしまうと、それが歴史として、いや汚点としてか、後世に残ってしまう。自分の書いた芝居を舞台にのせて観れば観るほど、改良するチャンスはふえていく。ちょうど学校のテストと同じで、最初は六五点で教室を出ていっても、翌日同じテストを受けたら、ひと晩考え直した答えが書けるようなものだ。七○点、八○点いやそれ以上の点が取れるかもしれない。だが、ぜったいに一○○点は取れないだろう。それはシェイクスピアにとっておこう」

……ニール・サイモン

 

 

○「人間というのはひとつの場所にすぎない」……エスターソン

 

○起きぬけの一杯の水。

「酔いざめの水、千両と値がきまり」……滝田ゆう