火
24
11月
2009
映画『スラムドッグ・ミリオネア』ダニー・ボイル監督
クイズ・ミリオネアのインド版に、スラム出身の少年が登場する。インドの聴衆が色めきたって画面をみつめている。その理由はすなわちジャイアント・キリングで、教育のない野良犬が知識人が答えることのできなかったクイズに答えているからである。
当然、少年には嫌疑がかかり、1000万ルピーの問題に正解し、テレビの画面を離れたその瞬間、不正容疑で一時、警察に身柄を拘引されてしまう。
「どうして正解を知りえたのか?」
オーディエンスの中に仲間がいてカンニングをしたのか、不正な手段を使って答えを事前に知ることができたのか、どうやって正解できたのか、その方法を吐けと拷問される。事実、少年は、アメリカの100ドル紙幣の肖像画の問題に正解しながら、自国の通貨、1000ルピー札の肖像画が誰なのかすら知らなかった。そんなお前がなぜ? との警部の質問に、少年はただ一言、「その問題は出なかった」という。警察に拷問されながら、スラムドッグが語ったその物語は、あまりにも過酷な、歴史と貧困のもたらす物語であった。
この問題の解答は知りたくなかった、ともらす少年のつぶやきは、クイズの一問一問が、少年の人生と密接にからみあっていることを意味している。
少年がクイズに答えるとき、インドのもう一つの物語が、幕をあける。
意外にも純愛物語。さすがダニー・ボイル。一筋縄ではいかない。
